~遥かなる悠久の歴史遺産~
  • 心に刻まれた旅の思い出
  • まだ見ぬ美しい世界へ
かつての栄華に思いを馳せて.....
文明の繁栄と夢の跡

目次

ワリ文化
パチャカマ文化
シカン文化
チムー王国
チャンカイ文化
クスコ王国
インカ帝国

ワリ文化Huari

光を与えた地下霊廟

ワリ文化

ワリ文化は、500年~900年頃にペルー中部のアンデス中央高地にあるアヤクーチョ地方の「ワリ」を中心に繁栄した古代文化である。
ボリビア国境からペルー北部の海岸地域に及ぶ広大な領土を支配し、同時代に繁栄したティワナク文化とアンデス地域を二分していた。
ワリ文化の主な遺跡には、「ワリ遺跡」「ビラコチャパンパ遺跡」「ピキリャクタ遺跡」など、支配各地に建造物が多数残っている。
2013年に「エル・カスティーリョ・デ・ウアルメイ遺跡」で未盗掘の王族の地下霊廟が発見され、3人の女王を含む63体の遺体が見つかり、ほとんどの遺体は座った状態で、リャマの毛と綿から織られた布に包まれて埋められており、中には神への生贄と推測される横たえられた遺体も6体確認された他、同時に精巧な金銀の財宝や貴重な副葬品が数多く発掘された。
ワリ文化はインカ帝国に支配方法や道路網など、あらゆる面で影響を与えたといわれているが、様々な謎が残されたままのため、長い間、インカ帝国の影に隠れ、見過ごされた帝国ともなっていたが、脚光を浴びることとなった。

パチャカマ文化Pachacamac

パチャカマ神の崇拝

パチャカマ文化

パチャカマ文化は、600年~1450年頃にペルー中西部のリマの南方にある「パチャカマ」を中心に繁栄した宗教色の濃い古代文化である。
パチャカマ神を信仰する独自の文化を築いており、この辺りに住む先住民にとって、宗教の中心地として大変な重要性を持っていた。
インカ帝国に征服された後、「天地の創造者」を意味するパチャカマと名付けられ、その信仰はインカ帝国の人々の間でも受け継がれた。
インカ帝国の時代には、この地方の産業の中心地として発展した。
パチャカマ時代に日干し煉瓦で建造された「パチャカマ神殿」、インカ帝国時代に新たに建造された「太陽の神殿」や「処女の館(月の神殿)」など、異なる文化時代の建造物がある。
インカ帝国の時代も受け継がれた、パチャカマ神を信仰するパチャカマ文化も、スペイン人の侵攻により崩壊した。

シカン文化Sican

黄金の都シカン

シカン文化

シカン文化は、750年~1350年頃にペルー北部の海岸地域のチクラーヨの北にある「バタングランデ」を中心に繁栄した黄金文化である。
モチェ文化の末裔により築かれたと考えられており、ペルー北部からエクアドルの国境近くまで広がり、発掘調査をした南イリノイ大学教授の島田泉により、「月の神殿」を意味するシカンと名付けられた。
1991年に「シカン遺跡」のロロ神殿の「東の墓」から、支配者と考えられる男性と4人の遺体とともに、総量1.2tに及ぶ、おびただしい黄金製品を中心とした副葬品が発見され、その中でも「アーモンドアイ」と呼ばれるつり上がった鋭い目、朱に塗られた顔を持つ「シカンの黄金大仮面」は、ペルーの国宝と称えられた。
多くの土器や金属器にもつり上がった鋭い目を持つ人物像の彫刻があり、森羅万象を司る「シカンの神」とされる。
一方、「西の墓」からは女性やリャマなどの生贄が多く出土したが、埋葬品は極端に少なく、逆に謎を深めた。
高度な冶金技術を持ち、アンデス文明の中で最も多くの黄金の装飾品を生産したシカン文化は、1350年頃にチムー王国に征服されて滅亡したが、その技術は征服したチムー王国、そして後のインカ帝国に受け継がれていった。

チムー王国Chimu

月を信仰した巨大王国

チムー王国

チムー王国は、850年~1470年頃にペルー北部の海岸地域のトルヒーヨ郊外の「チャンチャン」を中心に繁栄した古代文化である。
シカンを征服後はペルー北西部の太平洋岸一帯を支配する巨大な王国となり、太陽ではなく「月」を信仰し、「ドラゴンの神殿」や「パラモンガの要塞」など巨大な建造物を伴う多くの都市を建設した。
王国の首都チャンチャンは緻密な政治体制が確立され、高い城壁で囲んだ「シウラデーラ」という空間に、儀礼用の広場・謁見の間・行政地区・倉庫・王墓・神殿・貯水池等を配置し、王が代わる度にシウラデーラは新しく作られたため、最終的には9つのシウラデーラからなる、非常に整備された巨大な都市となった。
砂漠の真ん中に誕生した王国は、漆黒の陶器やシカンの冶金技術を継承した精巧な黄金製品でも知られるが、その歴史の大半は謎に包まれており、日干し煉瓦造りのため建造物が脆く、大雨や風化により遺跡の崩壊が進んでいる。
1470年頃、アンデス文明における最後にして最強を誇ったインカ帝国に侵攻され、チムー王国は終焉を迎えた。

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